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5分でわかるトレンドワード AIデータセンター

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要約

●AIデータセンターとは?
●AIデータセンターと従来のデータセンターの違い
●AIデータセンターの課題
●世界各国のAIデータセンターの動向
●日本の動向
●まとめ

AIデータセンターとは?

近年、AIの利用、特に生成AIの利用が飛躍的に拡大しており、ビジネスやエンターテインメント、教育など多岐にわたる分野でもはや不可欠の存在となっています。これを読んでおられる方も、何らかの形で生成AIを日常的に使ってらっしゃるのではないでしょうか。こうしたAI利用の拡大を支えるのが、今回ご紹介するAIデータセンターです。

昨年あたりからエレクトロニクス、通信、情報システム、ソフトウェアなどテック業界全般で「AIデータセンター需要」「AI需要」というトピックを見かけることが多くなっています。
2024年の政府発表資料では生成AI市場は2023年から2030年にかけて年平均約47.2%の増加が見込まれており、それに伴って生成AIに必要なインフラ需要も2023年から2030年にかけて約3倍になると予測されています。

※出典:経済産業省  デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合(第7回事務局説明資料)よりhttps://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/digital_infrastructure/0007.html

AIデータセンターと従来のデータセンターの違い

このように生成AI市場の急速な需要拡大から、AIインフラへの新しい需要が生まれています。これがいわゆるAI需要、AIデータセンター需要と呼ばれるものです。AIデータセンターは、従来のデータセンターと以下の点で異なります。

・高性能ハードウェア:
AIデータセンターはGPUやTPUといった高性能なプロセッサを搭載したAIサーバーを使用し大規模な並列処理を行います。処理性能を高めるために大容量メモリ、高速ストレージ、電源システムをはじめ、サーバーなどを構成する部品類により高速、高性能、大容量のものが必要になります。

・消費電力、発熱、冷却:
高性能なプロセッサを搭載したAIサーバーを大量に稼働させることから、AIデータセンターは同じスペースでもこれまで以上の電力を消費します。そのため多くの電力が必要となります。それに伴い発熱量も増加するため、液体冷却や液浸冷却など高度な冷却システムが必要になります。

※出典:経済産業省  デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合(第7回事務局説明資料)より
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/digital_infrastructure/0007.html

※出典:経済産業省 第7回デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合 資料5より
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/digital_infrastructure/0007.html

・ネットワーク・通信:
生成AIに対する膨大なリクエストと生成データ送付、あるいはAIデータサーバー間、データセンター内でのデータ通信に伴って、データ流通量は飛躍的に増大するためネットワークや通信もより大容量、高性能なものが必要となります。

出典:総務省 情報通信白書 令和5年版  より
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/nd121100.html

AIデータセンターの課題

AIデータセンターが増加していくうえで、いくつかの課題があります。
たとえば電力消費の増大では、現在でも東京圏、大阪圏にデータセンターは集中しており、今後AIデータセンターを含めてデータセンターが増加していくと、東京圏、大阪圏の電力逼迫はより深刻な状況になります。政府ではデータセンターの地方分散とともに、データセンターと発電所を一体で整備する施策を進めています。

※出典:経済産業省  デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合(第7回事務局説明資料)より
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/digital_infrastructure/0007.html

電力との関連で課題となるのがCO2排出量です。データセンターのCO2など温室効果ガスの排出は、一般的にデータセンター側のカーボンフットプリント(CFP)として計上されます。したがってAIデータセンターが増加することでデータセンター事業者のCFPの削減は大きな経営課題になってきます。その一方で利用する企業も間接的な排出量(Scope 3)の開示を求められる場合が多くなってきています。そのための対策として、データセンター事業者は再エネなどを利用したいわゆるグリーン電力の活用や、自前のグリーン発電所の設置などの取組みを進める例も多くなってきました。また排熱の利用についても考えられています。

世界各国のAIデータセンターの動向

世界の主要国はおおむね日本よりも先行しています。アメリカではGoogle、Amazon、Microsoftなどの大手企業が5000以上のサーバーを格納した超大規模なハイパースケールデータセンターを運営しています。今年1月末にトランプ大統領が、 米国内でのAI関連事業に77兆円の設備投資を発表したことでさらに拍車がかかっています。ヨーロッパでもEUがAIやデータセンターに大きな投資を行うほか、環境規制に対応した「グリーンデータセンター」の増加も注目されています。 また中国では、国家主導でデータインフラの整備が進みAI技術の普及が国家規模で加速しています。

日本の動向

日本でも、政府がAI技術の普及を支援するための政策を推進し、多くの施策を打ち出しています。また大手IT企業による日本のデータセンターへの大型投資も相次いでいます。例えばMicrosoftは2024~2026年で約4400億円、AWSは2兆2600億円の投資を予定しています。その他にもOracle、Google、OpenAIといったメジャーどころが巨額の投資を予定しており、こうした国内データセンターに対するメガクラウド企業の投資は、毎年数千億円以上の規模になると予想されています。

※出典:経済産業省  デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合(第7回事務局説明資料)より
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/digital_infrastructure/0007.html

まとめ

AIデータセンターは、AI技術の進化と普及に伴い、今後ますます重要な役割を果たすことが期待されています。電力消費や冷却などの課題を克服しつつ、世界各国での動向を注視しながら、日本でも持続可能なデータセンターの構築が進められています。

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