5分でわかるトレンドワード 「注目される非構造化データ」
要約
●非構造化データとは? 構造化データ、オルタナティブデータとは?●非構造化データが注目を集める理由
●非構造化データは可能性の宝庫
非構造化データとは? 構造化データ、オルタナティブデータとは?
現代社会において情報の分析は戦略構築や意思設定に欠かすことができませんが、なかでも新たなビジネスチャンスや価値創出を生む「非構造化データ」の活用が進んでいます。
非構造化データとは伝統的な構造化データ形式ではなく、特定の形式や構造を持たないデータのことを指します。
非構造化データと対義語になる「構造化データ」は、DBやエクセルなどの表形式をイメージしていただくのが分かりやすいと思います。身近なところでは顧客データ、在庫管理データ、ユーザーアクセスログなどがこれにあたります。データがフィールドに割り当てられて整理されており、処理が比較的簡単で、データの整合性も保ちやすいという特長があります。
これに対して「非構造化データ」は、人間の言語や感情をはじめ、整理の難しい自由で雑多な形式のデータです。例えば、SNSの投稿やリツイートやコメント、メール本文などが非構造化データの代表として挙げられます。これらのデータは、テキストではあっても特定の構造に従っているわけではなく、整理や構造化が難しいものです。この他にも非構造化データには画像、音声、ビデオ、ウェブページのソースコードなど、さまざまな形式があります。
関連して「オルタナティブデータ」という言葉もあります。これは非構造化データと同様に、伝統的なデータソース以外のデータを指します。データ形式ではなく、データの内容に着目した分類となっていて、金融やマーケティング分野ではこの言葉を使うことも多いです。SNSの投稿、ウェブスクレイピングデータ、センサーデータ、Webトラフィックデータ、広告データなどを指し、従来の経済指標や企業レポートだけでは得られない情報を得るために活用されています。
以下は平成25年度の総務省調査です。ビッグデータのブームに伴って、非構造化データへの注目や活用はこの頃から本格化しました。
※出典:総務省「情報流通・蓄積量の計測手法の検討に係る調査研究」(平成25年)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/html/nc113110.html
非構造化データが注目を集める理由
非構造化データが近年注目を集めている理由と背景はいくつかあります。
まず近年のデータ量の爆発的な増加を挙げることかできます。SNS、モバイルデバイス、センサーテクノロジーなどの進歩により、非構造化データが膨大な量生成されるようになりました。そのなかには、これまでの構造化データでは得られることのなかった多様で豊富な情報が多く含まれています。非構造化データの処理と分析は、企業や組織にとって重要な課題です。例えばSNS上での顧客の感情やフィードバックを分析することで、製品やサービスの改善点を見つけたり、マーケティングキャンペーンの効果を評価したりすることができます。
また新しい洞察を得ることもできます。身近な例を挙げると、マーケティング分野ではSNSのデータを分析して顧客のニーズや嗜好を把握し、よりパーソナライズされたマーケティングキャンペーンを展開することが一般的になっています。同様に金融業界では既存の金融指標に加えて、非構造化データやオルタナティブデータを用いて、市場トレンドや投資機会に関する洞察を得て、リスク管理やトレーディングの意思決定を行うようになっています。
この他にも専門的な分野では、モバイルデバイスやIoTによる位置情報を活用した様々なサービス、カメラによる映像情報と画像分析を活用したマーケティング施策、セキュリティや診断のサービス、音声や振動データなどを活用した事故予知のシステムなど、いまやあらゆる分野で非構造化データから新たなサービスが生まれています。
非構造化データは可能性の宝庫
このように大量の情報を含んだ膨大な非構造化データは、構造化データをはるかに上回る勢いで増えつつあり、「宝の山」と言っても過言ではありません。
とはいえ非構造化データは定まった形式を持たない多種多様な情報であるだけに、分析は容易ではありません。以前は自然言語処理(NLP)、画像処理、音声認識などの多様な技術やツールを使用する必要がありましたが、近年ではAIの進化、データ分析技術の普及、データサイエンティストの増加などにより、非構造化データの価値を最大限に引き出すことが比較的容易になりました。そして既存の構造化データと非構造化データを組み合わせることで、洞察の獲得やビジネスの意思決定などさまざまなフェーズで重要な役割を果たすようになりました。
今後も非構造化データは飛躍的に増えていくことが予測されており、これらのデータの収集、処理、分析の能力を持つ組織や専門家の重要度はこれからも大きくなっていくと考えられます。
構造化データと非構造化データの伸び(イメージ)
※出典:総務省「情報流通・蓄積量の計測手法の検討に係る調査研究」(平成25年)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/html/nc113110.html
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